外壁塗装に使う足場に使う時間は何日？組立から解体までの作業工程

著者：久島塗装

外壁塗装の際に欠かせない足場工事。その作業にかかる時間や設置の工程が、思った以上に日程に影響することをご存じですか？

 

「足場の組立にはどれくらい時間がかかるのか」「隣家との距離が近いけど設置は可能か」「雨の日に作業はどうなるのか」など、実際に塗装を検討している方の多くが、施工前のスケジュールや職人との対応について不安を抱えています。特に、解体にかかる時間は、リフォーム計画全体の工程や予算に直結する大切なポイントです。

 

本記事では、外壁塗装における足場工事のスケジュールを、組立から解体までの全体像として詳しく解説。加えて、天候によるスケジュール変更や、職人との付き合い方のマナーまで幅広く網羅しています。

 

施工現場のリアルな事例や（戸建て住宅）（マンション）など建物の違いによる作業時間の比較、さらには足場に関するトラブル回避策までをまとめました。

 

外壁塗装における足場の重要性と設置の基本知識

なぜ足場が必要なのか？安全性・作業効率・品質確保の観点から解説

 

外壁塗装を安全かつ高品質に仕上げるためには、足場の設置が欠かせません。足場は単なる作業台ではなく、工事全体の安全性や効率、そして仕上がりの質に大きな影響を与える重要な設備です。

 

まず、安全性の観点から見てみましょう。高所での作業には常に転落事故のリスクが伴います。足場を設けることで作業員の足元が安定し、バランスを崩す危険を大きく軽減できます。実際に、厚生労働省が発表している建設業の労働災害統計でも、「墜落・転落」が事故原因の上位を占めており、足場の設置が事故防止に役立つことは明らかです。

 

次に、作業効率の向上という点でも足場は重要です。しっかりと組まれた足場があれば、作業員が高所へ安全かつスムーズに移動できます。特に2階建て以上の住宅やマンションでは、足場がなければ仮設台や梯子での作業になり、時間がかかるうえに作業の精度も落ちやすくなります。足場の有無は、作業時間の短縮と仕上がりの安定性に直結します。

 

さらに、品質確保の観点でも足場は非常に重要です。丁寧な塗装を行うためには、安定した姿勢で一定の距離を保ちながら作業する必要があります。足場がなければ、均一な塗膜を形成することが難しくなり、塗りムラや剥がれの原因になってしまいます。

 

外壁塗装で使われる足場の種類と特徴

 

外壁塗装の現場では、建物の構造や敷地条件に応じて、さまざまな種類の足場が使い分けられています。足場の選定は、安全性だけでなく、作業効率やコストにも影響を与えるため、事前にそれぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

 

代表的な足場には、以下の3種類があります。

 

足場の種類	特徴	主な使用場面	メリット	デメリット
枠組足場	鋼製パイプを用いた枠構造で高い安定性を誇ります	3階建て以上の建物やビルなど	強度が高く、安全性に優れる	大規模な現場向きで、設置に広いスペースが必要
単管足場	鋼管を組み合わせて自由な形状に対応可能	狭小地や複雑な構造の住宅	柔軟性があり、変形敷地でも対応可能	組立てに技術が必要で、安定性にやや劣る場合もある
クサビ式足場	専用金具で部材を組み立てる近年主流の方式	一般的な戸建て住宅など	組立てが早く、コストパフォーマンスが良い	高層建物には不向きなことがある

 

クサビ式足場は、現在の外壁塗装工事においてもっとも多く採用されている形式です。施工のスピードが速く、部材がコンパクトなため、敷地が限られた住宅でも設置しやすいという利点があります。コストも比較的安価で、一般的な戸建て住宅に最適です。

 

足場の設置条件と必要スペース

 

足場の設置には、建物の構造や敷地の状況に応じたスペースの確保が必要です。十分なスペースがなければ、安全な作業環境を確保できず、施工そのものが困難になることもあります。

 

一般的な一戸建て住宅では、建物の外周から最低でも60cm～1m程度のスペースが必要とされています。これは作業員の移動や、養生シートの設置スペース、足場部材の安定した設置に必要な最小幅です。しかし、実際にはこの条件を満たしていない住宅も多く存在します。

 

住宅密集地などでは、隣家との距離が30cm以下というケースも少なくありません。そういった場合には、以下のような対応が必要となります。

 

• 隣家の敷地を一時的に使用するための承諾書を取得
• カーポートや鉢植えなどの撤去・移動
• 短尺部材や単管足場を用いた特殊設置

 

足場の設置には、周囲の建築物や庭の構造物、樹木、門扉、車両などの存在も大きく影響します。とくに屋根やベランダが張り出している場合は、想定以上にスペースが必要になることがあり、現地調査の際にはミリ単位での確認が求められます。

 

また、公道にはみ出す形で足場を組む場合は、道路占用許可を自治体から取得する必要があります。これは道路交通法に基づいたもので、無許可での設置は罰則の対象となるため注意が必要です。許可申請には施工図面や工期予定表の提出が必要で、審査には数日かかることもあります。

 

以下は、足場設置に必要なスペースと対応例をまとめた表です。

 

建物の種類	必要なスペースの目安	使用される足場	対応方法の例
一般的な2階建て住宅	約60〜100cm	クサビ式足場	通常施工可能
隣家との距離が30cm未満	約30〜50cm	単管足場	特殊部材使用・隣家承諾
公道沿い・前面道路狭小	制限あり	クサビ式または単管	道路占用許可の取得

 

足場工事にかかる時間は？！組立・解体・塗装全体のスケジュール

足場組み立てにかかる標準時間とは？一軒家・マンション別に解説

 

足場工事のスタートは、まず「組み立て」から始まります。足場の組み立て時間は建物の種類や規模、敷地条件、気象状況によっても左右されますが、標準的な時間を知っておくことで全体のスケジュール管理がしやすくなります。

 

一軒家の場合、作業員2〜4人程度の人員体制で、一般的な30〜40坪の住宅であれば、組み立ては半日から1日程度が目安となります。特に外壁と屋根を含む場合には、屋根足場も組む必要があるため、丸1日かかるケースも多くあります。

 

一方、マンションなどの集合住宅になると事情は変わります。高さがあるため、安全基準をより厳格に遵守し、部材の搬入や設置にも時間がかかるため、5階建て以下の低層マンションでも2日以上かかるのが一般的です。また、共用部の使用制限、住民対応なども作業スピードに影響を与えます。

 

さらに、以下のような要因が組み立て時間に影響します。

 

1. 建物と隣家の距離が狭い（足場幅に制限あり）
2. 敷地にカーポートや庭木、鉢植えなどの障害物がある
3. 道幅が狭くトラックが近くまで入れない（部材搬入が手作業）

 

このような条件下では、時間が通常より長くなる可能性があります。

 

以下のテーブルにて、標準的な足場組み立て時間の目安をまとめました。

 

建物タイプ	延床面積の目安	作業人数	組み立て時間の目安
一戸建て（2階建て）	約30〜40坪	2〜4人	半日〜1日
一戸建て（3階建て）	約40〜50坪	3〜5人	1日〜1.5日
低層マンション	3〜5階	4〜6人	2日〜3日
高層マンション	6階以上	6人以上	3日以上

 

足場解体にかかる時間の目安とよくある誤解

 

足場の解体は、外壁塗装が完了した後に行われる作業ですが、組み立てに比べると短時間で完了する傾向があります。ただし、建物の構造や立地、作業時間帯の制約などによって所要時間は変わるため、一般的な目安を把握しておくことが大切です。

 

一戸建て住宅（30〜40坪規模）の場合、解体作業はおおむね2〜4時間で完了します。マンションのような高層建築になると、作業時間は1日以上かかることもあります。特に6階建て以上のマンションでは、作業の安全性と効率を両立するために、複数日をかけて段階的に解体することが一般的です。

 

よくある誤解として、「解体作業は1時間もあれば終わる」「雨でも関係なく作業できる」といった認識がありますが、実際には以下のような要素が解体時間に大きな影響を与えます。

 

1. 組み立て時と同様にトラックの搬入口が遠い場合、部材の搬出に時間がかかる
2. 天候（特に強風）により、解体作業の一部または全部が中止・延期となる
3. 解体時の騒音や粉じんに配慮して作業速度が制限される
4. 足場の構造が複雑（屋根足場や飛散防止ネットが追加されている）である場合

 

こうした状況を踏まえたうえで、足場解体の所要時間の目安を表にまとめました。

 

建物タイプ	解体時間の目安	注意点の例
一戸建て（2階建て）	2〜4時間程度	騒音・粉じん配慮、搬出動線の確保
一戸建て（3階建て）	3〜6時間程度	屋根足場の有無、敷地の狭さが影響
低層マンション	1日程度	共用部分の養生・住民配慮が必要
高層マンション	2日〜3日以上	段階的解体・安全帯使用など厳格な安全基準あり

 

外壁塗装全体でかかる期間の流れと工程別スケジュール表

 

外壁塗装は「足場の組み立てから解体まで」一連の工程で構成されています。一般的な一戸建て住宅を例にすると、工事全体にかかる期間は約10日〜14日ほどですが、建物の大きさや老朽化の程度、天候条件などによって増減します。

 

まず、外壁塗装には以下のような主要な工程が含まれています。

 

1. 足場の設置
2. 養生作業
3. 高圧洗浄
4. 下地補修・シーリング
5. 下塗り・中塗り・上塗り
6. 点検・補修
7. 足場解体・清掃

 

この中で、実際に塗料を塗る工程（下塗り〜上塗り）は3日〜4日が一般的ですが、下地処理や高圧洗浄、養生作業に意外と時間がかかります。また、雨天や強風などで作業ができない場合にはスケジュールが後ろ倒しになるため、全体工程が延びる可能性も考慮する必要があります。

 

以下は、一般的な外壁塗装工事のスケジュールを日数ごとに整理した一覧表です。

 

工程	内容概要	所要日数の目安
足場の設置	安全性と作業効率を確保するための足場組立作業	半日〜1日程度
高圧洗浄	外壁や屋根の汚れ・カビを除去し、塗料の密着を高める	1日程度
養生作業	塗料飛散防止のため、サッシやエアコン室外機などを保護	半日〜1日程度
下地補修・シーリング	ひび割れ補修やシーリング打ち替えなど、塗装前の下準備	1日〜2日程度
下塗り	上塗り塗料の密着性を高める下地塗装	半日〜1日程度
中塗り・上塗り	本塗装の2工程。耐候性・防水性・美観を左右する重要工程	各1日、計2日程度
最終点検・手直し	塗りムラや塗り残しがないか、細部までチェック	半日程度
足場解体・清掃	作業完了後、足場を撤去し敷地を元通りに清掃	半日〜1日程度

 

上記のスケジュールは、あくまで「理想的な天候・作業環境」での目安です。特に梅雨時期や台風シーズンでは、外作業ができない日が増え、全体期間が2〜3日程度延びることも珍しくありません。

 

また、住まいの形状や敷地条件によっては、以下のようなケースも発生します。

 

• 狭小地で足場が組みにくい場合、設置・解体に余分な時間がかかる
• 3階建て以上の建物では、安全対策の徹底により各工程が慎重に進められる
• 木造住宅などで外壁の劣化が進んでいる場合、下地補修が追加されることにより作業日数が増加

 

足場組立時のマナー・差し入れ・職人との付き合い方

足場職人にお茶出しは必要？タイミングとマナーの現実

 

足場工事を依頼した際に「職人さんにお茶を出すべきか」と悩む方は少なくありません。昔ながらの日本の職人文化では「施主からの差し入れ」が一般的でしたが、現在の現場事情や社会の価値観の変化により、対応は多様化しています。

 

まず、結論として「お茶出しは必須ではありません」。現代の職人さんたちはプロフェッショナルとして雇われており、施主からの心配りはあくまで「任意」です。とはいえ、差し入れや声かけが職人との関係構築に有効なのも事実です。特に外壁塗装や足場組立などの工程では、安全確保や効率的な作業のために現場の空気が和やかであることが重要です。

 

お茶出しをする場合の適切なタイミングは、作業の休憩時間が基本です。以下のような時間帯が多くの現場で共通しています。

 

作業時間帯	差し入れのタイミング	推奨される内容
10時前後	9時50分〜10時10分	冷たいお茶やスポーツドリンクなど
12時	11時50分〜12時10分	缶コーヒーや軽い菓子類
15時前後	14時50分〜15時10分	栄養ドリンクや果物など

 

差し入れ文化の地域差と最近の傾向（冬・夏の対応）

 

日本全国において、足場職人への差し入れ文化には地域ごとに明確な差が見られます。たとえば関西や九州では、今でも施主によるお茶出しや軽食の差し入れが「当然」と考えられている地域が多く存在します。一方で関東や都市部では「遠慮されるケース」が増えており、業者側から「差し入れは不要です」とあらかじめ伝えられることもあります。

 

こうした違いは地域性だけでなく、ライフスタイルの変化や職人の働き方改革も影響しています。特に2020年代以降は、外壁塗装や足場組立の現場でも「効率化」や「時間管理」が重視されるようになり、現場によっては休憩時間を会社で指定していることもあります。

 

また、季節による差し入れの内容やタイミングも重要です。以下のように季節ごとのポイントを押さえておくと、より好印象を持たれやすくなります。

 

季節	推奨される差し入れ	避けたい差し入れ
夏	冷たいお茶、スポーツドリンク、塩飴、冷却タオルなど	熱い飲み物、油っこい菓子
冬	温かい缶コーヒー、甘酒、ホットレモン、肉まんなど	冷たい飲料、冷たいデザート類

 

まとめ

外壁塗装における足場工事は、安全性の確保や作業の効率化、仕上がりの品質維持において欠かせない重要な工程です。一軒家であれば組立に（半日から1日）、解体には（半日程度）が一般的な目安とされており、作業日数の見積もりにも大きく影響します。特に、狭小地や隣家との距離が近いケースでは、足場の設置に工夫が必要であり、施工業者の対応力が問われる場面でもあります。

 

また、天候の影響によって作業が中断された場合や、騒音・トラブルの懸念から近隣住民との関係性にも配慮が求められます。スケジュール通りに工程を進めるためにも、事前準備や業者との打ち合わせをしっかり行うことが大切です。足場に関する知識を深めることで、無駄な時間を回避し、理想的な塗装結果を得ることができます。

 

さらに、職人との良好な関係を築くための心配りや、差し入れに関するマナーも施工全体の雰囲気に影響します。必須ではないものの、感謝の気持ちを示すことがスムーズな現場運営につながるケースも多く見られます。

 

この記事を通じて、足場工事の時間的目安や注意点、関わる人々との対応方法を把握することで、外壁塗装をより安心して進められるようになります。適切な知識と計画で、満足のいくリフォームを実現しましょう。

 

よくある質問

Q. 外壁塗装で足場を組むとき、一般的にかかる時間はどのくらいですか？
A. 一般的な戸建て住宅の場合、足場の組立には（半日から1日）程度、解体には（半日）が目安とされています。ただし、建物の規模や敷地の条件、周囲の環境によって時間は前後します。例えば、マンションや三階建て住宅などは足場の高さや部材の多さにより、（2日程度）かかるケースもあります。効率的に進めるためにも、事前に業者との打ち合わせでスケジュールを明確にしておくことが重要です。

 

Q. 外壁塗装工事中の足場による騒音はどれくらい発生しますか？
A. 足場の組立や解体作業時には、金属音や打撃音が発生するため、一般的に（8時から17時頃）の作業時間内での騒音が予想されます。特に組立と解体の初日と最終日は音が大きくなりやすく、隣接する建物が近い場合には配慮が必要です。あらかじめ近隣への挨拶や説明を業者に依頼することで、トラブルを回避しやすくなります。工事の工程によって音の大きさや種類が変わるため、スケジュールの把握と説明が非常に重要です。

 

Q. 雨の日や風が強い日の外壁塗装工事はどうなりますか？
A. 雨天や強風時は、足場での作業が危険となるため、原則として工事は中断されます。安全確保と施工品質を守るため、天候によるスケジュール変更は避けられません。とくに風速が（10メートル以上）になると作業員の安全性が著しく低下し、足場の揺れによるリスクが増すため、工期が伸びる要因になります。工事全体の遅延を最小限にするためにも、天気予報と連携した柔軟な計画と、業者との密な連絡体制が大切です。

 

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